吐き溜め日記。

つらつら書きます。

さんばか

 

 

 

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「あっっっっちい」

「うはは、澪くん溶けそうw」

「いやでもマジで暑いねここも」

「春は日当たりよかったのに…直射日光のクソ」

 

入学当初はまだ少し肌寒く

柔い日光が当たる居心地のよかったこの場所も

いくら体育館裏で影があるとは言え

夏が近付くにつれ太陽も高く上がり

ジリジリと焼かれるような暑さだ。

 

「かと言って、ここ以外で吸ってバレるのもね~」

「……だな」

 

此処で出会った3人は運命よろしくなんとクラスまで一緒で、

今もこうして揃って煙草を蒸かしている。

気温は30℃、いわゆる真夏日

出会った頃より薄着になったとはいえ、

まだ7月1週目、このままでは至福の一服タイムも危ぶまれる。

どうしたものか、と此処へ来て何本目かの煙草に火をつけた時

 

「そんな2人に朗報でーす」

 

急に声を上げチャリチャリと鍵を振り回したのは

最近”夏だから!”と訳の分からない理由で

金髪だった髪をシルバーに染めたほりくんだった。

 

「何それ?女の子の家の鍵?」

その隣でスマホから顔を上げてあざとく首を傾げているのが

入学当初より明るいアッシュカラーに染めたいちくん。

 

「残念、女の子はいねーけど、部室の鍵」

「部室?」

 

「お前バイト忙しいから部活しないんじゃなかったの」

日陰を死守しつつ汗で張り付く髪をうっとおしそうにしてるのは澪くん。

ちなみに入学当初黒だった髪は

光に当たると分かる程度の深い青に染められた。

 

「そーだけど、夏は暑いし冬はさみぃし、

いつまでもここで吸うわけにもいかないじゃん?」

 

”だから適当に部活?同好会っつーの?作って部室貰った。

エアコンもあるよ4階の角部屋だからちょっと歩くけど。”

 

そこまで言い終わって最後の一口を吸い込み

煙草の火を揉み消してほりくんが立ち上がる。

 

「ちなみに顧問は古典のおじいちゃん先生ね、

将棋部と兼任だから来ないし、鍵も一任された!」

「たまにほりくんの行動力ソンケーするわ」

「……神かよ」

「ほらほら、早く行こ!!」

 

急かされて2人も煙草を消して腰をあげる。

 

三馬鹿部活(仮)するってよ。

 

 

_______

 

 

「よ」

「あれ、今日は澪くん早いね」

「ラスト人足りてたから、

いちくんこそ今日遅くない?」

「あ~バイトの先輩送ってきた」

「まぁた女かよ」

 

チカチカ、テーブルに置かれたスマートフォン
通知を知らせる。トークアプリを開くと

見慣れた名前からの連絡

 

「ほりくん?なんて?」

「今終わったから着替えてソッコー行く!だって」

「じゃあコンビニ集合でいっか」

「だな」

 

ズゾゾ、と音を立てながらシェイクを飲み干し

立ち上がって出る準備を整える。

 

夏休みに入って1週間、

3人それぞれバイトに明け暮れる日々を送りながらも

夜には駅前の某ファーストフードチェーン店で集合し

それから遊ぶのが気付けばルーティーンになっていた。

 

2軒隣のコンビニで時間をつぶしていると

見慣れた明るい髪色が近付いてくる。

 

「ごめんごめん!」

「おー、お疲れ」

「お疲れ~、って言うかほりくん、何それ」

「あーこれ?花火!客に買ってもらっちった!」

手にぶら下げたビニール袋を顔の高さまで上げて

にんまり、満足そうに笑うほりくん、

どうやら今日の遊びはこれで決まりらしい。

 

煙草に、缶チューハイとジュース、お菓子を買って

顔を見合わせる。

 

「さて、どこでやる?」

「えー?それ言っちゃう?澪くん」

「そりゃあもちろん…」

 

”””” 海!!! ”””

 

3人揃って声をあげて満足そうに

海の方向に歩き出す。

途中見かけた公園で全力でブランコ立ち漕ぎに挑戦したり

ノラ猫達の猫会議に参加したりで

なんとか目的の海に辿り着いた時には日付が変わって

暫く経っていた

 

「さすがにこの時間じゃ誰もいねーな」

「それがいいんじゃん?澪くん人混み嫌いだし」

「じゃ、遠慮なく遊びますか!!」

「にしても偉くいい花火買ってもらったな」

「店にあるやつで一番デカいパックのだかんね」

 

ガサガサと袋から花火を取り出し

思い思いの物に火をつけていく

 

「おお…」

「キレーキレー!!」

「久々やると楽しいもんだな」

「やばい色変わるじゃんこれ!!!」

「ちょ、俺2本持ちやりたい!」

「ほりいけー、そのまま走れー!」

「待って待ってw動画撮るわw」

 

……

 

 

「はぁ、つっかれたー!!!」

「結構遊んだよな」

「この時間でもさすがに暑いね~」

「アイス買いに行く?」

「あり、てかこないだ言ってたDVDもう見た?」

「まだ、あれほりも見たいって言ってたから」

「じゃあアイス買ってー、DVD借りてー澪くん家で見よ!」

「さんせ~」

「いいけど、床で雑魚寝な」

「いちアイス何買う?」

「俺パルムかな、ほりくんは?」

「好きだね~それ、俺パピコ~」

「話聞けやw」

 

 

三馬鹿と夏の遊び

 

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お題は澪くんから

「夏、放課後、アイス、海」

でした~~~~

一本がっつり書くつもりが暫く書いてなさすぎて死んだ結果

くそ短いのが二本になってて草である。

気が済んだら消すかもしれない